技術の進化に伴い、企業がITに求める役割は「業務を支えること」から「事業そのものを変革し、持続的な競争力を生み出すこと」へと大きく変化しており、IT部門の役割や組織のあり方は、経営アジェンダのひとつです。シグマクシスは、「IT部門が企業変革を推進する中核となる」という考えのもと、これまでIT組織変革を実践されてきたCIOをお招きし、変革の具体的なプロセスを学ぶ “ IT組織変革”勉強会シリーズを企画・運営しています。

2026年1月28日に開催した第4回“ IT組織変革”勉強会では、イオンペット株式会社(以下、イオンペット様)執行役員 平井 丈裕様をお迎えし、「イオンペット IT部門5年間の変遷」と題するご講演をいただきました。

本レポートは、より多くの企業様の変革に役立てていただくことを目的に、平井様およびイオンペット様の許諾をいただき、勉強会の要諦を掲載します。

講師ご紹介

イオンペット株式会社 
執行役員 IT推進本部 本部長
平井 丈裕 様

外資系ITベンダー・ITコンサルを経て、直近の10年は複数の企業で情シス責任者として従事。
IT戦略の立案・実行に加え、「IT部門」という組織の人材育成・組織強化を強みとする。
保有資格:PMP、CBAPなど

開催レポート

1. クイックウィンの積み重ねにより得られる、社内からの理解と信頼が不可欠

平井様は、「ビジネスをリードするIT組織」の実現に向け、実行力・IT戦略・ROIリスクの3領域における課題整理に着手し、これらに対応する6つの活動テーマを策定されました。

変革の出発点は、組織内部の変革を通じて、ビジネス側と共創できる強固な組織基盤を構築することでした。周囲の理解と信頼が十分に整っていない状態で、あるべき論だけでは前進できないとのお考えのもと、優先順位を明確にしながらクイックウィンを着実に積み重ね、早期に社内からの信頼を獲得することを最優先とされました。
大規模・高難度の施策から着手するのではなく、ビジネス部門の信頼を得るための施策を戦略的に実行したことが、最終的に大きな変革につながったと振り返られました。

2. IT部門の管掌外にも積極的に関与、踏み込んだ提案でビジネス部門をリード

平井様が提唱されたこれからのIT組織のあり方は、単にシステムを構築・運用する立場にとどまるものではありません。本来はIT部門の管掌外とされる領域であっても、IT投資を成功させるためには積極的にビジネス部門に関与し、影響力を及ぼしていく姿勢が求められると強調されました。

例えば、システム導入プロジェクトにおいては、導入後の体制や業務フローがスケジュール化されていないケースが少なくありません。そこで早期の段階でスケジュールを具体化してビジネス部門へ共有することで、プロジェクトへの当事者意識を醸成しました。また、技術的観点からの支援にとどまらず、必要に応じて組織設計にまで踏み込んだ提案を行うなど、ビジネスの成功をリードしていく姿勢を示されました。

IT部門が伴走者として機能し、ビジネス部門がシステムの価値を最大限に引き出せる状態を実現することこそ、これからのIT組織が目指すべき姿であると述べられました。

3. 好感や親しみ、安心感を醸成する組織変革

組織変革を実効性のあるものにするためには、IT戦略をに対する当事者意識を組織全体に浸透させることが極めて重要です。平井様はその実現に向け、徹底したコミュニケーション戦略を展開されました。
特に中心的な役割を果たしたのが、毎週欠かさず開催された週間デジタル会議です。これは単なる進捗報告の場ではなく、心理学における「ザイオンス効果」を意識した設計としています。毎回トークテーマを設けて対話を重ね、継続的な接点を持つことで関係を深め、組織内に好感や安心感を醸成していきました。
こうした取り組みを通じて、ITはIT部門のものから「全社共通の武器」へと位置づけが変化し、中期経営計画の中心軸に据えられるまでになりました。

ザイオンス効果:特定の人物や物事に対し、繰り返し接触することで、相手に好感や親しみを抱くようになる心理現象

本講演は、イオンペット様が中期経営計画を推進する上で、IT部門がいかにして経営戦略の中核へと変化したのかという軌跡を示すものでした。特筆すべきは、三現主義に基づき、現場との信頼関係を丁寧に構築された点です。
IT部門とビジネス部門の協力体制を構築する主体的な姿勢は、次世代IT組織の理想像を示す事例といえるでしょう。
シグマクシスは、今後も本勉強会の開催を通じて、このような実践的な知見を共有する場を提供し、日本企業全体のIT組織変革と価値創造に貢献してまいります。

第4回"IT組織変革"勉強会 開催の様子

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デジタル時代のCIOが、ITによる経営価値向上を実現に向けて取り組む活動を包括的に伴走支援する「Co-CIOサービス」では、本アンケート調査のテーマであるIT投資・コストマネジメントも対象とし、課題解決とIT活用による高度化をご支援しております。詳細は以下のサービス紹介をお読み下さい。

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