技術の進化に伴い、企業がITに求める役割は「業務を支えること」から「事業そのものを変革し、持続的な競争力を生み出すこと」へと大きく変化しており、IT部門の役割や組織のあり方は、経営アジェンダのひとつです。シグマクシスは、「IT部門が企業変革を推進する中核となる」という考えのもと、これまでIT組織変革を実践されてきたCIOをお招きし、変革の具体的なプロセスを学ぶ “IT組織変革”勉強会シリーズを企画・運営しています。

2025年9月18日に開催した第2回“IT組織変革”勉強会では、 NTTファイナンス株式会社(以下、NTTファイナンス様)コーポレートIT部長(CIO)磯谷昌利様をお迎えし、「もの造りともの創りの融合 IT部門の変革について」をテーマにご講演いただきました。ここでいう「もの創り」とは、単にシステムを構築・運用する「もの造り」にとどまらず、事業価値に繋がる新しい施策を主体的に生み出していく変革の役割を指します。

本レポートは、より多くの企業様の変革に役立てていただくことを目的に、磯谷様およびNTTファイナンス様の許諾を得たうえで、勉強会の要諦を掲載します。

講師ご紹介

NTTファイナンス株式会社 
コーポレートIT部長(CIO)
磯谷 昌利 様

1992年にNTTへ入社以来、一貫してNTTグループでキャリアを重ね、システム開発から経営企画・新規事業まで幅広く経験。
現在はNTTファイナンスCIOとして全社IT戦略をリード。

開催レポート

1. IT部門の新たな役割は「新しい施策のプロデュース」

磯谷様は、「これからのIT部門が果たすべき役割は、単にシステムを構築・運用する“もの造り”だけではない」と強調します。

社内に点在する、技術を知らないがDXには取り組みたい社員の想い、過去からのIT遺産、日進月歩で生まれる新しい技術、そして複雑な経営課題といった様々な要素を組み合わせ、価値ある施策を新たに「プロデュース」していくことこそが、これからのIT部門に求められる中核的な役割であると語ります。
 

そして、この役割を担うためには、まず変革を強力に推進できる「人」と「組織」の存在が不可欠であると続けます。

2. 変革を推進する「人」と「組織」の作り方

変革を成功させる上で最も重要な要素は「人」であると磯谷様は断言し、NTTファイナンス様でされているユニークな組織の人材活用方法が紹介されました。

NTTファイナンス様のIT部門では、個々のスキルセットだけでなく、その人の「キャラクター(特性)」を重視して役割を配置します。また、案件ごとに最適なスキルを持つ人材でチームを編成し、担当者に案件の推進を丸投げするのではなく、CIO自らが進むべき「シナリオ」を描きます。具体的な方針を提示することで、組織全体の成果を最大化します。

こうして変革をプロデュースするための土台ができた上で、「次はそのチームがどのように施策を成功に導くかが重要だ」と磯谷様は続けます。

3. 「作る」から「使われる」へ。業務部隊の目線で施策を進める

「IT部門のゴールは作ることではなく、現場で使われて成果を出すこと」と、磯谷様はこの意識転換の重要性を強く訴えます。そのためには、技術導入に留まらず、業務部門と連携し現場で成果が出るまで深く踏み込むことがIT部門のミッションとなります

また、コストの説明においては、「正しさ」よりも、業務上の成果と結びついた「相手が納得しやすいシナリオ」で伝えることが変革を実現する鍵になると締めくくりました。

磯谷様のご講演は、IT部門が「システム構築者」から、経営課題を解決し、新しい価値を創造する「変革のプロデューサー」へと進化するための、具体的なロードマップを示すものでした。
プロデュースに必要な「人」「組織」の土台作りから、「使われる」ことをゴールとした施策推進、そして納得感を重視したコストコミュニケーションに至るまで、その実践的な知見は、多くの企業にとって変革推進の参考になるのではないでしょうか。
シグマクシスは、今後も本勉強会の開催を通じて、このような実践的な知見を共有する場を提供し、日本企業全体のIT組織変革と価値創造に貢献してまいります。

第2回"IT組織変革"勉強会 開催の様子

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デジタル時代のCIOが、ITによる経営価値向上を実現に向けて取り組む活動を包括的に伴走支援する「Co-CIOサービス」では、本アンケート調査のテーマであるIT投資・コストマネジメントも対象とし、課題解決とIT活用による高度化をご支援しております。詳細は以下のサービス紹介をお読み下さい。

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