技術の進化に伴い、企業がITに求める役割は「業務を支えること」から「事業そのものを変革し、持続的な競争力を生み出すこと」へと大きく変化しており、IT部門の役割や組織のあり方は、経営アジェンダのひとつです。シグマクシスは、「IT部門が企業変革を推進する中核となる」という考えのもと、これまでIT組織変革を実践されてきたCIOをお招きし、変革の具体的なプロセスを学ぶ "IT組織変革"勉強会シリーズを企画・運営しています。
2025年7月8日に開催した第1回では、マクニカホールディングス株式会社(以下、マクニカ) 執行役員 兼 株式会社マクニカ IT本部長の安藤啓吾様をお迎えし、同社が直面してきた経営課題やIT部門への期待、それに応える組織改革の具体的な取り組みと成果について講演いただきました。
より多くの企業様の変革に役立てていただくことを目的に、安藤様およびマクニカ様の許諾を得たうえで、勉強会の要諦をまとめ、下記に掲載します。

マクニカホールディングス株式会社
執行役員 兼 株式会社マクニカ IT本部長
安藤 啓吾 様
大学卒業後、三菱商事株式会社に入社。
以来32年間IT関連業務に従事し、18年間の海外駐在(NY / バンコク)、事業会社CIO、IT子会社社長、IT部門長を歴任し、21年より現職。
システム開発の民主化が進む中、IT部門はもはや単なる“システム屋”ではありません。安藤様はこれからのIT部門のあるべき姿を「組織や個人の考え方や行動の変化を促し、会社に変革を起こす“パートナー”」と定義します。
この“パートナー”としての役割を果たすため、マクニカ様では、まずIT部門のあるべき姿を実現する組織体制を構築し、そのうえで段階的にマインドチェンジを進めるというアプローチが取られました。これは、一足飛びの大改革ではなく、必要な機能を構造的に整理しながら組織体制を整備し、同時に現場の意識改革を進めるという、段階的かつ実践的な取り組みです。

安藤様は、“あるべき姿”を実現するために、IT部門に求められる機能と、それを支える組織体制を定義する必要があると考えたそうです。「これからのIT部門にはどのような機能が必要か?」という問いに対し、“あるべき姿”から逆算して答えを導くことで、従来の保守・開発といったシステムに特化した機能だけでなく、先進技術の活用や、アジャイル型での企画・開発を担う機能を有する体制の必要性が明確になりました。
また、これらの機能を、“業務”と“技術”という2つの専門性に大別し、新IT部門では、この2つの専門性を掛け合わせたマトリクス型の組織構造を採用しました。“業務”と“技術”の視点を横断的に統合するかたちで、7つの課を配置し、変革を牽引できる体制が整えられました。

変革を真に成功させるには、制度や体制整備に加え、働く人々の“意識”や“行動”の変容が欠かせません。安藤様が最も重視したのは、「変革の必要性を、自分ごととして捉えること」でした。その第一歩として “健全な危機感”を醸成するべく、現状のままでは、IT部門の存在意義は薄れるという事実を率直に伝え、「なぜ変わらなければならないのか」を共通認識として浸透させました。さらに、各課のリーダーに「3年後のあるべき姿」や「そのために必要な要素」を自ら定義させ、単なるトップダウンではなく、現場からの自律的な変革を推進しました。このプロセスは、個人間の対話を重視しながら、評価と見直しを繰り返す“アジャイル型”のアプローチとして進められました。

このように変革を推進するマクニカ様では、特に難易度が高いとされる“ソフトスキル”の領域、すなわち Shared Value(共通の価値観)、Staff(人財の質・傾向)、Skill(人財の技能・能力)に今後も重点的に取り組む方針が示されています。組織全体での持続的な改善による更なる成熟度への発展に、シグマクシスも同社のシェルパとして伴走してまいります。


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