近年、DX推進の重要性の高まりと共にIT人財需要が増加し、各社のキャリア採用等によるIT人財確保は難化しています。また、既存IT人財の育成はというと、社内外研修やeラーニング、資格取得支援等を各社導入しているものの、実際に現場で即戦力となるIT人財への成長にはなかなか繋っていません。一方で、DX推進の有力なアプローチである市民開発の導入によりIT部門に求められるケイパビリティは刻々と変化しており、人財面での課題解決は企業のIT部門の急務となっています。
こうした背景をふまえシグマクシスは、「IT人財確保」「IT人財育成」「市民開発の導入」といったテーマに関するアンケート調査を、企業のIT部門向けに実施し、その取組み状況や課題感を明らかにしました。
対象 |
CIO、IT部門長、IT企画のご担当、経営企画のご担当 |
実施時期 |
2024年6月24日~2024年9月27日 |
アンケート手法 |
Webアンケートツールによるアンケート |
IT人財の確保・育成に具体的にどのように取り組まれているか、また市民開発の導入によるIT部門に求められるケイパビリティの変化を把握するため、以下の設問に対して自由記述式にて回答いただきました。
IT人財の確保
- IT人財確保の手法への取組状況とその評価
- 課題と解決に向けたアイデア
キャリア採用コスト
- キャリア採用の目標人数に対する達成率(%)
- 30代前半のPM人財を採用する場合のオファー額(万円単位)の目安
IT部門人財の育成
- IT部門IT人財育成の施策
- 課題と解決に向けたアイデア
全社員の育成
- 全社員を対象にしたIT人財育成の施策
- 課題と解決に向けたアイデア
市民開発*
- 市民開発の導入・検討状況
- 市民開発を導入済み・検討中の理由
- 市民開発における課題
- 市民開発を導入することにより、「IT部門で今後強化すべき機能(新たな追加する機能も含む)」もしくは、「今後縮退すべき機能(削減する機能も含む)」
*市民開発とは、ユーザーがIT部門に頼ることなく、ローコード・ノーコードツールを活用して業務に必要なアプリケーションを開発する取組み。
アンケート調査結果の概略は、下記となります。
IT人財の確保
- IT人財確保の手法は「キャリア採用(91%)」「他部門からの受入(91%)」が最も多かった。
次いで、「再雇用(68%)」「外部パートナー企業からの受入(68%)」が多かった。 - うまくいっている取組のTop3は、「外部パートナーからの受入(59%)」「キャリア採用(54%)」「新卒採用(53%)」。
- 課題のTop3は、「部門横並びの観点を踏まえると市場価値に見合う給与を提示できない」「育成・指導する人財が社内に不足している」「売り手市場のため応募者獲得が難しい」。
- アイデアのTop3は、「外部ベンダー・コンサルとの戦略的なパートナー契約」「IT人財向け給与制度の設計・導入」「IT部門のプレゼンス向上」
キャリア採用コスト
- 67%の企業が、キャリア採用の目標人数を達成できていない
- 30代前半のPM人財へのオファー額のばらつきは大きい。
IT部門人財の育成
- 育成施策のTop3は、「社内外研修」「OJT」「オンデマンド研修」。
- 課題のTop3は、「育成を企画・実行する人財が社内に不足している」「現業が忙しく学習時間の確保が難しい」「学習するモチベーションが上がらない」。
- アイデアのTop3は、「社内外研修」「プロパー・有識者(再雇用者/コンサル/外部ベンダー)との協働」「事業・業務知見の獲得」。
全社員の育成
- 施策のTop3は、「社内外研修」「オンデマンド研修」「DX案件への事業部門の巻込み」。
- 課題のTop3は、「育成を企画・実行する人財が社内に不足している」「IT・DXの価値が社内で十分に理解されていない」「事業部門の負担が大きい」。
- アイデアのTop3は、「社内外研修」「DX推進の機運作り」「DXを推進する事業部門人財の選抜・育成」。
市民開発
- 81%の企業が、市民開発を導入済みもしくは検討中。
- 理由のTop3は、「アジリティの向上」「IT人財不足の代替手段」「DX推進の機運作り」。
- 課題のTop3は、「システムがブラックボックス化してしまう」「ローコード/ノーコード開発スキルが低い」「市民開発へのモチベーションが低い」。
- 強化すべき機能のTop3は、「ITガバナンスルールの整備」「開発プラットフォームの構築」「ユーザーサポート機能の整備」。
- 縮退すべき機能は、「ロングテール領域の開発機能」が60%を占める。
アンケート結果から、IT人財の現状や課題を把握するともとに、「シグマクシスの考えるIT人財確保・育成のアイデア」をまとめました。
IT人財を確保するために「部門横並びの観点」から脱却し、市場価値に見合う給与を提示することが求められていますが、例えば子会社設立によって給与体系を分け、柔軟な制度設計を行うことも有力なアプローチであると考えられます。
また、IT部門向けのIT人財育成では、アドバイザーとIT人財間でパーソナライズされた伴走型の育成を仕組み化し、学習意欲の向上を図ることが効果的であると考えられます。その際、アドバイザーにかかる負荷を軽減するため、IT部門がバックアップする体制を築くことも重要です。
全社員向けのIT人財育成では、限られたリソースで効率的な育成を行うために、いきなり全社員向けに行うのではなく、DX学習の必要性・モチベーションが高い人財を「DXコア人財」として優先的に育成することが効果的です。DXコア人財が学習結果を活かして現場で活躍することによって、周囲にDX学習のモチベーションが醸成されるため、結果として全社員向けの育成を促進する足掛かりとなることが期待できます。
本アンケート調査について、回答企業の業界・規模や、回答結果の詳細がわかる詳細版のレポートを発行しております。ご関心がございましたら、以下のお問い合わせフォームより、請求したい資料について記載の上、お問い合わせください。
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デジタル時代のCIOが、ITによる経営価値向上を実現に向けて取り組む活動を包括的に伴走支援する「Co-CIOサービス」では、本アンケート調査のテーマであるIT投資・コストマネジメントも対象とし、課題解決とIT活用による高度化をご支援しております。詳細は以下のサービス紹介をお読み下さい。
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