日本郵船株式会社 様
日本郵船株式会社様(以下、日本郵船様)は、AI活用による経営の高度化を実現するため、会計基幹システムをSAP S/4HANA® Cloud Public Edition(以下、パブリック版のSAP S/4HANA Cloud)へ移行し、社内システム基盤を刷新しました。シグマクシスは、SAPジャパン株式会社をはじめとしたパートナー各社と協業しながら本取り組みを支援しました。新業務およびシステムは、2025年7月の稼働開始から、安定的に運用されています。
世界最大級の総合物流企業である日本郵船様は、データに基づく迅速な意思決定を根幹としたデータドリブン経営の実現を目指し、経営基盤刷新に取り組まれてきました。その一つが、本社および国内外の子会社(船舶保有のための特別目的会社を含む)約350社の会計基幹システムをパブリック版のSAP S/4HANA Cloudへ移行、全社業務の標準化を行った「財務・会計業務・システム次世代化プロジェクト」です。本プロジェクトは、パブリック版 SAP S/4HANA Cloud の導入としては国内最大規模であり、財務取引管理(TRM)やインハウスバンキング(IHB)といった高度な金融機能を標準構成で実装した国内初のケース(2025年12月時点)で、世界的にも先進的なプロジェクトとして位置づけられています。
プロジェクト成功の鍵となったのが、SAPが推奨する業務標準化手法「Fit to Standard」の徹底です。従来は約450件存在したアドオンを約1割まで縮小し、システムをクリーンコアにすることで、定期的なグローバルバージョンアップに迅速に対応できる環境を整備しました。実際に、稼働直後のバージョンアップも大きな改修を要することなく円滑に完了し、クラウドのメリットを最大限に享受できる環境を実現しています。
シグマクシスは、日本郵船様ならびにパートナー企業各社と緊密に連携し、プロジェクト・マネジメントスキルを発揮しながらPMOとして全体の推進を牽引しました。特に、Fit to Standard を実現するための豊富な導入実績や、海運・物流業務に関する知見を活かし、複雑な業務の標準化とパブリック版 SAP S/4HANA Cloud の導入を両立させた点が高く評価されています。
今後、日本郵船様はクリーンコア環境を活かして最新技術の取り込みを継続し、生成AIを活用した定型業務の自動化や高度な分析業務へのシフトを推進します。シグマクシスは、同社の業務標準化と経営基盤の高度化に向け、シェルパとして引き続き伴走していきます。