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IFRS新時代 ~迫られる連結経営への転換~(1)

執筆者:太田 寛 (パートナー)

プロフィール詳細

太田 寛
太田 寛
Hiroshi Ota

パートナー
専門分野:経理財務

航空会社システム部門、外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。流通、製薬、運輸、製造等の幅広い業界に対し、経理財務分野のコンサルティングを実施。プロセス変革、経営管理、システム導入、内部統制強化等のプロジェクトを得意とする。

グローバル化の嵐の中で求められる「連結経営」

日本企業がまたしても黒船の大波にさらされようとしている。過去10年以上にわたり、企業会計を取り巻く環境は、変化し続けている。1990年代後半の会計ビックバン、連結決算中心への移行、決算早期化圧力、四半期開示、内部統制報告制度、そしてIFRS・・・。

IFRS適用において、連結先行が議論されている通り、市場はグループ企業群を1つの経済活動体として測定する連結決算を重視している。このことはすなわち、グループ企業群に対し、1つの経済活動体としてその企業価値最大化を図る「連結経営」を、市場が求めていると言っても過言ではない。

しかし、日本企業の多くは連結財務諸表をいかに早く効率的に作成するかという点に力を注ぎ、各個社の仕組みを維持しながら、会計システムや連結決算システムの刷新で変化に対応してきた。つまり、連結経営の仕組みを手に入れることなく依然として子会社の自主性に委ねた非常に緩やかなガバナンスモデルをとっているのだ。

マーケットのグローバル化により、世界規模で顧客ニーズの多様化が進み、企業間の競争が激しさを増す中、これまで日本を主たる市場としていた企業も否応なしにグローバル競争の波に巻き込まれつつある。海外の企業に目を向けると、企業グループがひとつの経済活動体として運営されることを前提とした強い中央集権型の企業が登場し、市場で優位なポジションを築いている。日本企業が「連結決算化」を進めていたのに対し、海外のリーディングカンパニーは「連結経営化」を図ってきたのだ。日本企業が技術・サービスが世界トップレベルでありながら、ビジネスパフォーマンスでは世界のトップグループから後退してしまった一因は、相対的な生産性の低さにあると考えられる。海外のリーディングカンパニーは、プロセス、IT、組織、人財の統合をグローバルレベルに推し進め、効率性の向上、統制強化、経営情報の可視性の向上を実現したが、日本企業はこうした便益を獲得できていない。

IFRS導入により、資本市場のさらなるグローバル化が進もうとしている中、好むと好まざるにかかわらず、日本企業は今まで以上に、連結経営モデルへの転換が求められていると言えよう。