社員が協働・価値創造し組織力を上げるプロジェクト型ワークスタイルへの変革(2)

社員が協働・価値創造し組織力を上げるプロジェクト型ワークスタイルへの変革(2)

執筆者:坂本 正樹(パートナー)

プロフィール詳細

坂本 正樹
坂本 正樹
Masaki Sakamoto

パートナー
専門分野:製薬、消費財、経理財務業務改革、全社基幹システム再構築、プロジェクトマネジメント

外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。製薬、消費財、食品、自動車等の業界に対し、経理財務業務のプロセス改革からシステム再構築までの一貫した改革推進、大規模ERP導入の構想立案から導入のプロジェクト・マネジメントを得意とする。

「プロジェクト型ワークスタイル」の成熟度

しかし実際には、「プロジェクト型ワークスタイル」以前に、経営者の「プロジェクト」そのものへの評価も必ずしも高くはない。「プロジェクトは我が社に数多く存在するが、投資対効果を含め成果が見えない。」という声をよく聞く。その背景には、「場当たり的にプロジェクトが発生する」、「プロジェクトが乱立して、ワークロードをひっ迫する」、「プロジェクトのゴールが曖昧」、「進捗が見えずタイムリーにマネジメントアクションが取れない」、「プロジェクトの成果が属人的で、組織として再利用できていない」といった現象がある。では、どうすれば「プロジェクト」の品質を高め、それらを「プロジェクト型ワークスタイルの全社的な推進」として展開できるのだろうか。

プロジェクト型ワークスタイルは大きく5段階の成熟度に分けることができる。組織横断的な取り組みがなされていない段階(Level 0)を初めとして、個人能力に依存したプロジェクト運営がなされ、個別プロジェクトが乱立している状態(Level 1)、次にプロジェクト・マネジメントの方法論(手順やツール)が標準的に活用され、各プロジェクトの状態は都度確認がなされる状態(Level 2)、さらには戦略とプロジェクトが整合して機能しつつ、自動的にステータスはが可視化され必要に応じてマネジメントアクションが取られる状態(Level 3)、通常業務も含め創発的・ゴール志向のワークスタイルが実現している状態(Level 4)に分類できる。Levelが上がるごとに企業全体として得られる効果は高くなると考えられる。この成熟度に照らして、改めて自社の状況をみてみると、多くの企業がLevel 0 ないしLevel 1で留まっているのが現状ではないだろうか。

推進アプローチ

レベルアップを図るためには、まずは個々のプロジェクトのプロジェクト・マネジメントのレベルを向上させなければならない。それがすべての土台になる。一足飛びにワークスタイルの変革を唱えても、現状との乖離が大きすぎて、掛け声だけに終わる可能性が高い。まずは丁寧に基盤を整えて、次第に拡大していく方法が着実で、最終的な成果につながる。

プロジェクト・マネジメントのレベル向上にあたり、標準となるプロジェクト・マネジメント方法論(手順やツール)を策定する。なお、書籍などで提唱される定型的な「プロジェクト・マネジメント方法論」は、あるべき姿をイメージして作られたものであるため、網羅的であり精度が高い一方、実施すべき内容が多く、当社のようなコンサルティング会社や、システム開発会社等でなければ、導入は非現実的であると考えたほうがよい。実際、多忙なプロジェクト・リーダーにとっては面倒な手続き以外の何物でもなく、せっかく苦労して導入しても、活用されないで終わるケースがほとんどだ。したがって、企業風土やプロジェクト・リーダーのスキルレベルの実態に合わせ、最低限度やるべきことにスコープを絞ったプロジェクト・マネジメント方法論とプロジェクト制度を、一から設計する必要がある。

方法論と制度の定着のためには、まずトライアルとして、何名かのプロジェクト・リーダーが担当する全社的にも重要度の高いプロジェクトで方法論を適用し、リーダーのスキルアップと方法論のブラッシュアップを図る。次にトライアルの結果を踏まえて、他のプロジェクトに順次展開しながら、経営戦略とプロジェクトの整合性が確保され、自動的にステータスが可視化されて、必要に応じてマネジメントアクション取ることができる状態(Level 3)を目指す。その際には、プログラム・マネジメント・オフィス(PMO)を立ち上げ、後述する「7つの機能」よって変革を推進する。

  • 第1回

    ・企業における「プロジェクト」の重要性の高まり
    ・「プロジェクト型ワークスタイル」への変革が、イノベーションを加速させる

  • 第2回

    ・「プロジェクト型ワークスタイル」の成熟度
    ・推進アプローチ

  • 第3回

    ・変革を推進するプログラム・マネジメント・オフィス(PMO)「7つの機能」
    ・プロジェクト型ワークスタイルを有効化するための基盤整備
    ・ワークスタイル変革は、経営戦略そのものである