社員が協働・価値創造し組織力を上げるプロジェクト型ワークスタイルへの変革(1)

社員が協働・価値創造し組織力を上げるプロジェクト型ワークスタイルへの変革(1)

執筆者:坂本 正樹(パートナー)

プロフィール詳細

坂本 正樹
坂本 正樹
Masaki Sakamoto

パートナー
専門分野:製薬、消費財、経理財務業務改革、全社基幹システム再構築、プロジェクトマネジメント

外資系コンサルティングファームを経て現在に至る。製薬、消費財、食品、自動車等の業界に対し、経理財務業務のプロセス改革からシステム再構築までの一貫した改革推進、大規模ERP導入の構想立案から導入のプロジェクト・マネジメントを得意とする。

企業における「プロジェクト」の重要性の高まり

金融危機、新型インフルエンザ、気候変動、政権交代による政策・法規制の変更など、経営環境は目まぐるしく、かつ複雑に変化し続けている。これまでの正解が明日もまた正解かどうかわからない「不確実性」が高まる中、自社の競争優位を維持し、高めていくにはために、企業は抜本的な方向転換を迫られていると言えるだろう。例えば、リスクマネジメントにおいても、受け身対応型のリスク管理から、不確実な環境を前提としてリスク要因を未然にコントロールする、感度の高い経営管理へのシフトが求められている。変わり続ける市場ニーズへの迅速な対応と、ビジネススピード全体の向上も重要だ。また、価値観が多様化する中、画一的な「付加価値」ではなく「課題解決価値」が求められており、企業は今、業界を問わず、ソリューション開発力・提供力が問われている。

このように、質・スピード共に変化が増している時代においては、企業はあらゆる知恵や経験を組み合わせてイノベーションを起こし続けなければならない。自社内、自社の組織内、あるいは部門内に閉じた活動の積み上げだけで、激変する環境を勝ち抜くことはもはや不可能だろう。新しい価値を創造し続けるためは、社内外をまたぐ組織横断的な協働(コラボレーション)が機能し続けていることが求められる。従来、組織あるいは企業を横断する取り組みは、企業内における通常業務と区別して「プロジェクト」と位置付けられてきたが、今、その「プロジェクト」の重要性と戦略的遂行の必要性が、ますます高まっていると言えるだろう。

「プロジェクト型ワークスタイル」への変革が、イノベーションを加速させる

「プロジェクト」は一般に、「特別のミッションのために有期で結成されたチームでの活動」と定義される。従って多くの場合、通常のライン業務に比して、前例のないテーマ設定で組成され、解くべき課題の難易度が高く、利害関係者も多く、多様で専門性の高いバックグラウンドをもったメンバーによる「有期」のチームで進められる、といった特性を持つ。これらの特性は複合的に重なって影響しあうため、正しく組成されて適切に運営されれば大きな成果を生むが、マネジメントを間違えると、時間的にも資源的にも損失に終わることも少なくない。始めるのは簡単でも、成果につなげるのが非常に難しいのだ。しかし、難しいが故に、成功したプロジェクト・ワークから得られる学びも多い。たとえばゴールやスコープ(取り組み範囲)の変更要求への対応、スケジュール、コスト、リソース(資源)におけるトレードオフの判断、プロジェクトメンバーのパフォーマンスの向上、意思決定や関係者間での合意形成の手法などである。これらは、プロジェクト運営に限った話ではなく、あらゆる仕事に求められる要素だ。プロジェクトを通じて会得する学びは、通常業務でのパフォーマンスに活用すれば、日々のあらゆる業務を創発的でゴール志向に転換するエンジンになりえると言えるだろう。プロジェクトを「プロジェクト」として終わらせることなく、全社の働き方を変革する「プロジェクト型ワークスタイル」としていかに展開できるか?ここに、ビジネスモデル変革への鍵がある。

  • 第1回

    ・企業における「プロジェクト」の重要性の高まり
    ・「プロジェクト型ワークスタイル」への変革が、イノベーションを加速させる

  • 第2回

    ・「プロジェクト型ワークスタイル」の成熟度
    ・推進アプローチ

  • 第3回

    ・変革を推進するプログラム・マネジメント・オフィス(PMO)「7つの機能」
    ・プロジェクト型ワークスタイルを有効化するための基盤整備
    ・ワークスタイル変革は、経営戦略そのものである