不確実な時代のマネジメント(2)

不確実な時代のマネジメント(2)

執筆者:渡邊 達雄(パートナー)

プロフィール詳細

渡邊 達雄
渡邊 達雄
Tatsuo Watanabe

パートナー/ソリューションサービス リーダー
専門分野:製造、製薬、業務改革、シェアードサービス/アウトソーシング、経営管理

外資系コンサルティングファーム 経理財務コンサルティングサービスリーダーを経て現在に至る。主に製造業のお客様に、業務のプロセス改革からシステム再構築、シェアード化の推進など一貫した改革をご提案・実施。
また近年では業務アウトソーシング、業務のオフショア化などを推進した実績を有する。

不確実要因見つけ数値化

企業の業績管理では、売り上げや利益の実績といった数値が管理指標となる。だが、金額指標だけでは、事業計画が達成できなかった場合「どこが不振か」という「犯人」はわかっても「なぜ不振なのか」という「原因」はわからない。
事業計画達成における不確実な要因をリスクととらえてモニタリングし、対応策を講じるのが不確実性マネジメントである。この手法を実行するにはいつくかのポイントがある。
まず、不確実な要因を定義することだ。小売業の支店長にとって「不確実な要因」とは何か。着目すべきなのは、売り上げを達成する上で影響力をもつ指標なのである。
ここでは、来客数と購入単価に着目し、この2つが計画値通りであれば、売り上げ目標が達成できると想定してみよう。
計画値達成に影響を与えるものを考える。天候や近隣イベントの有無、競合店の動き、昨今では感染症の流行もあるだろう。これらはすべて支店長にとって不確実な要因となる。
「例年と比べて冷夏」となれば、夏の売れ筋商品は影響を受ける。来客数における「気温」は不確実な要因の代表例だ。
ちなみに海外のあるレジャーランドは顧客の作る行列に注目した。行列に並んでいる間は、他の買い物も食事もできない。過度な行列は、客単価を下げる要因になるという仮説を立て、行列の長さを管理すべき要因としたのである。
不確実な要因を定義した後は、異常値を認識するための「前提値」を置く必要がある。来客数であれば、晴天率、近隣イベントの件数、予測平均気温などである。先述のレジャーランドも、時間帯ごとの施設の行列に標準モデルを作り、管理の基準としてる。
これら前提値の変化と、その結果として来店客数や購買単価が受けた影響を、リアルタイムで把握することが重要だ。「気温が1度上昇すると客数への影響が○○人」「レジの処理数が5%悪化すれば○○円下落」といった実績データも、蓄積して活用できる。
POS(販売時点情報管理)が発達している現在では、顧客特性や購買特性までつかめる。それらの情報と不確実な要因の動きを組み合わせることで、詳細で、深みのある分析が可能となるだろう。

※この論文は、日経産業新聞(2009年6月2日から5日)に掲載されたコラムの再掲載になります。